chris wiesendanger

クリス ヴィーゼンダンガー  ピアニスト/作曲家

 

その数多くの企画・活動において、作曲と即興の境界における表現の形を開拓し続けている。焦点をあてて取り組んでいるのは、

静、動、身振り、流れ、佇む存在感、エネルギー、姿勢、集中— 

という領域。

その作品は、伝統的ジャズ、現代音楽、ロック音楽、電子音楽、ミュジークコンクレート、そして日本の伝統音楽など種々のジャンルから想念を得ている。

クリス ヴィーゼンダンガーの音楽において核となるのは、「集中」と「そこに在ること」。この静寂なる核からは、ポリフォニーとポリリズムが開かれる。多層的な響きの構造と、動的進行の層を成した重なりは、「なにもない状態」と「解放された空間」への相反のなかにある。

音楽は共鳴を起こし、変化を生み出す、そして沈黙へと回帰する。

 

スイス・チューリヒ芸術大学(ZHDK)およびルツェルン音楽大学(HSLU)にて後進の指導にもあたり、長年の指導経験は彼の音楽創作において大きな重要性を持つ。

即興演奏と練習法についてのテーマ、そのふたつを介する問題提起は、彼の創造世界に直接の影響を与えている。

 

−近年の主な活動−

2012年より、Frank Möbus(Gt.)、Gerry Hemingway(Dr.)とのトリオ発足。

2015年、アメリカのBen Street(B.)、Jeff Ballard(Dr.)とのCD “Au clair soleil, je chante à pleine voix“ (全曲自身の作曲作品)をパリにて収録、2016年夏にリリース。

近年はソロピアノの演奏も精力的に行い、2015年にはCD“Acoustic Solo Piano Works Vol.1“(全曲即興演奏)が発売された。

2016年夏、かみむら泰一(Sax.)、齋藤徹(B.)と共に邦楽を取り入れた新たなプロジェクトを立ち上げ、活動を広げている。

−作曲家として−

現代・前衛音楽の分野で室内楽やソロ楽器、歌曲集などにも取り組む。2012年には、日本の古典短歌や俳句をもとにした歌曲集“Wie ein Band aufrollen und ins Feuer werfen“を作り、チューリヒ現代音楽アンサンブル(Ensemble für Neue Musik Zürich)、加藤苑絵(歌)、Christian Weber(B.)によって初演された。

 

− チューリヒ(スイス)に生まれる。幼少よりクラシックピアノを始め、独自のインプロヴィゼイションや作曲に目覚める。10代の頃からその才能を認められ、数々の国際的ジャズ演奏家たちと共演、ヨーロッパ全土およびアメリカで本格的な音楽活動を始める。様々な音楽家との世界各国ツアーなど数々の演奏活動の傍らニューヨークにて研鑽。ジャズのみならず、ヨーロッパの現代音楽家や作曲家との交流も深く、自らの作曲スタイルに大きな影響を与えている。ジャズから即興演奏、前衛・現代音楽、ミュジークコンクレート、電子音楽まで興味と活動は幅広く、その豊富な知識と多岐にわたる音楽経験によりスイス公共放送局SRF2でのジャズ放送番組にコメンテーター・解説者としても定期的に招かれている。また、著名なクラシック音楽家の音楽人生を辿るラジオ放送番組(Parlando)にて、異例のジャズ音楽家としてその音楽的軌跡が特集される。Mark Turner(Ts.)、Ben Street(B)、Nasheet Waits (Dr.)とのカルテットCD(“Urban Village“ /Fresh Sound New Talent)の他、スイスCDレーベルからは多数の録音およびライブCDが発売されている。 −